CiliumにおけるGeneveプロトコルを用いたDSRの実装と導入

DSR(Direct Server Return)とは、ロードバランサ経由のリクエストに対するレスポンスを、ロードバランサを介さずに直接クライアントに返す方式のことです。 通常、Ciliumが提供するロードバランサは、IPヘッダ内のオプション部を使ってDSRを実現します。 しかし、この手法では一部のネットワーク機器で通信遅延が発生しました。 そこで我々は、UDPベースのカプセル化技術であるGeneveプロトコルによるDSRをUpstreamに提案・実装しました。 本発表では、CiliumのeBPFによる通信制御の仕組みを解説し、CybozuにおけるCiliumのDSR導入の取り組みについて紹介します。

Tomoki Sugiura / Tomoya Terashima

登壇者プロフィール

Tomoki Sugiura / Tomoya Terashima

サイボウズ株式会社

ソフトウェアエンジニア

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杉浦 智基:2023年サイボウズ中途入社。Google Summer of Code 2021 で Cilium Network Policy の ICMP 対応に取り組む。現在はサイボウズの Kubernetes クラスタ上で動作する Cilium の開発・運用業務に従事。 寺嶋 友哉:2022年サイボウズ新卒入社。Cilium や自社開発 CNI プラグイン Coil などの開発・運用を主に担当。eBPF や BGP に興味を持ち日々邁進中。